趣向と道具
大寄や立礼にいろいろ参加してきた。
「ははぁ、素敵なご趣向、すばらしいお道具を拝見させて頂き、ありがたいことです」
正客になった時はそういうモードで会話するし、正客にならなかった時も、そういう気分にはなっている。
でも、後で冷静になってから思い出すと、本気で素敵な趣向が凝らされている割合なんてせいぜい2割くらいだと思う。素晴らしい道具を拝見した事なんて数える程しかない。
こんな感じか:
趣向 | 道具 | |
---|---|---|
凄い、凄すぎ! | 5% | 0% |
おお素敵やん | 20% | 5% |
気が効いてるなぁ | 60% | 60% |
ふーん | 15% | 35% |
ま、客が亭主を批評するなんてどうかとは思うけど、正直そう思ってる。もしかすると、大寄せにもグレードがあって、下の方にばかり参加しているとか、そんなことなのかもしれないけど。
趣向がピシッと決まるのは、亭主と客の関係が大事だと思う。特定の誰かの為に趣向を凝らすのと違い、不特定多数の客に判るようにしたら「気が効いてるな」くらいになって当然かも知れない。
また、大寄せなんて不特定多数がやってくる茶会に、本当に本当に大事な道具は出せない。例えば大樋はよく見るが楽が出て来た事はない。値段で言うのは下品だが、主茶碗は100万から300万の間。替茶碗は50万以下。そのぐらいのものが出て来ると思う。
であれば、趣向だって、搬送やお客様の粗相で壊れてもしかたない、と思えるものでしか組めないんじゃないか?立礼なんて、床のしつらえはできないし、野点大寄茶会だと屋外の天候に耐える道具組しかできないだろうし。
そういう制約の中で頑張ってくださっている事に「ありがたい」と思うのはまた、ぜんぜん嘘ではないのだ。
でも、大寄せってのは稽古している人の発表会、という現実的な側面の方が強い気がする。素晴らしい道具拝見するには美術館の茶会とかだろーなー、やっぱ。