いばりとおつり

今日はちょっぴり尾篭なお話。

いくつかの武家の流派では膝上、というか正座した腿の上で帛紗を片手でさばく。捌いた帛紗を畳に置くより、膝上の方が清浄である。という思想に基づくものだ。

男の点前において、着物と袴の世界ではこれは割と正しい。

ただし現代的な感覚でいうと、洗う事のできない袴の上がきれいかどうかかなり怪しい。ちゃんと掃除して、誰も踏むはずが無い点前畳の端の方がきれいかも。

では洋服の世界ではどうか?

男はズボンの前。いわゆる「社会の窓」を広げ、ぱおーんと引っ張り出し、立った姿勢で致すのが今様雪隠の用法である。

しかしこの用法、ズボンの前は汚れかねない危険性を孕んでいる。袴の場合はたくしあげて裾からなんとかするので前あたりが汚れる事はないのだけれど。

洋服でお点前するなんて基本的にはお稽古の日しかない。同じ教室の人だからユーリン風味のお茶でもま、いっか…とはいかない。

なのでお稽古の日の心得として、必ず綺麗に洗ったズボンを履き、小用も座って致す事にしている。脱ぎゃ前を汚す事もないのだ。

自分的には大事な心得なのだ。