東京美術倶楽部 禅・茶・花

正木美術館は行くのが難しい美術館。というより、大阪茶道具拝見ツアーに組み込むのが難しいんだよな。だって梅田から行って見て帰って2時間半は覚悟しないといけないんだもん。藤田行って湯木行って(休んでるけど)逸翁行ったら無理って感じ。

そんな正木さんの東京での移動展。「行かねば」と思ってました。なんとか最終日に駆け込みで行って来ましたよ。


まず入口から入ると軸。軸軸軸と軸だらけ。

白状すると、ここは十分には楽しめませんでした。虚堂とか一休とか有名なのはいいんですけど、他は勉強不足過ぎてどう楽しめばいいものか。たぶん将来「あんとき見てた筈なのに!」って後悔すると思います。


そして茶道具の展示。

玳皮盞天目。ちょっと浅いので「夏茶碗じゃろか」とか馬鹿な事を考えてました。青貝の天目台が素晴らしかった。貝が浮き出ているのがすごい。貝は沈める方が楽に作れる。浮き立たせると相対的にくぼんだ漆面の仕上げが難しいのだ。

光悦の「園城」。シャープなのに丸っこい光悦茶碗。掛け分けの飴釉がなんか目新しかった。黄伊羅保。べべら、釉薬、見込みの景色。石はぜ。すばらしい雰囲気なんだけど、竹節高台でないのが凄く残念。


軸メインみたいな展示でしたが、軸以外もなかなか良い物が置いてあります。

なのに展示の説明がそっけなさ過ぎてびっくりします。大名物 有明肩衝なんて、遠州の歌銘ある筈ですから、箱ぐらい一緒に展示して欲しい。あと高麗物に「朝鮮時代(Yi Dynasty)」って表記も酷すぎです。1392年から1910年の間のドコよ?って感じです。これなら私にもできそうな展示です。学芸員の仕事っぷりがイマイチではないでしょうか。


さて、美術館を見るという事は、コレクションした人の趣味を知るって事です。
正木さんの趣味は抑制されたいい趣味です。

侘び過ぎず、華やか過ぎず、スゴ過ぎず。

…もうちょっとスゴ過ぎてくれるとありがたいのですが…。