最初の茶事

考えてみると、私は稽古開始より前に茶事をしていたのだった。

お茶に興味が湧きはじめたころ、点前は知らないけど妻に茶事をしてあげようと思った。そこが私の茶道実践の最初だったのだ。

私は男としてはそれなりに料理ができる方だと思う。なので裏千家の茶事本とかを読みながらメニューを考えた。茶室があるわけではないので、リビングで料理→お菓子→お茶と流れをなぞった。

しかし実際、通しでしてみると、料理はともかく、最後のお茶の部分で点前が全くできなかった。当り前だけど。「こりゃ少しはどこかの流派で稽古が必要だな!」と思ったのが稽古行きはじめた発端だったのだ。

さて、その後、点前という意味ではとりあえず平点前は学んだ。これは私にとっては大きな進歩だった。

その知識をベースに去年のクリスマスに茶事をやった。

が、逆に中途半端に学んだ作法が足枷になって、ぎくしゃくしてしまった。

自信無くあやふやな部分、逆に自信持ってフリーダムに楽しむ部分、そして学んだからこーゆーふーにしなければ、というルールに頼り、そして縛られた部分。この三つが繋がるとなんだかヘンテコ茶事になっちゃうんだよね。

無知ゆえに自由気ままにしていた最初の茶事が一番スムーズで面白かった気がする。

しかし、無知で無くなる道を選んだ以上、まず自由きままでないきちんとした茶事をできる様にならんといかんのだろう。それができる様になって、その先に、知った上での自由気ままが可能な日が来るんだろう。たぶんね。