一客一亭

私が一番最初にやった茶事のメニュー。

向付 クエハタ 昆布〆
桜の塩漬入白玉 麦味噌
煮物 根菜3種と厚揚
焼物 石鯛 幽庵焼
箸洗 茗荷
八寸 蛤の時雨煮 牛旁の山椒煮
香物 茄子

普段の晩ご飯よりオジサンちょっとがんばっちゃったよ!程度の趣向の無い和食だ。煮物碗の日常っぽさはびっくりする程だ。でも会社帰りに食材を買って作る以上、あまり珍奇なものは入れようがない(平日だったのだ)。

菓子は落雁を打って水饅頭を作った。まだ上生作るという発想無かったから。

ご飯はナショナルの小さいレトロ炊飯器で炊き、湯もその釜で沸かした。一種の茶飯釜だ。でもなかなか沸かないので困った記憶がある。


さて、上記の料理をすべて自作したのだが、その時の経験で言うと、一客一亭水屋に半東なしって茶事は難しい。

向付と八寸、香物は作っておいとけばいいし、汁と煮物、箸洗いは温め直せばいい。焼物は漬けとけば焼くだけだ。いろいろ先に仕込んで開始したけれど、でも最適な状態で出すにはキッチンとダイニングを細かく往復しなけりゃならなかった。

料理を作りながら、お相伴をして、会話もしなきゃいけないのは、結構大変だ。


その後も一客一亭でお茶事をしているがやっぱ難しい。どうしてもバタバタと気ぜわしい接待になってしまう。

だからって家庭内で半東の存在をあてにするわけにもいかない。一客一亭の場合、一般の茶事の流れは捨て、料理はもっと簡略化し弁当レベルにして接待応答の楽しさを中心に置いた方がいいように思った。