煮〆

茶道全集巻の七 懐石篇、「懐石挿話集」末宗廣より。

利休まだ若かりし頃、奈良の宗春と云ふ茶人が突然訪ね來り、不時の茶を所望した。利休は兎も角もと煮〆の茶請を出し茶を供したのであつたが、其の煮〆を出した事を後々迄門弟達に失敗だつたと云ひ、斯かる失敗をしない様にと注意したと云ふ。
煮〆は如何にも食い餘しを出したかの様に思はしめると云う理由で。

不時の茶の関連のエピソードでは利休はソツ無くこなすか、他の茶人がソツなくこなすか、他の茶人のこなせないのを「人としてどうよ?」ってな対応で非難するのが主なので、利休の失敗譚?は珍しい。

不時の茶なんだから、ありあわせでイイ!筈だけど、やっぱ残飯感のするものは駄目って事なのね。