畠山記念館 数寄者 益田鈍翁 心づくしの茶人

記念館を出て、見てきたものを咀嚼する。

断腸と屁。

困った。これしか印象に残ってない。

毘沙門堂」。
鈍翁が買わなかった事を「涙を飲みて」「断腸の思ひ」で後悔した柿の蔕茶碗。

いや、ほんとうに素晴らしい茶碗。削り込んでシャープしかし山道な口縁。かすかな目跡。正面と背面でまったく印象の変わる景色。
ミリンダ王の問いではないが、部分の善し悪しをいろいろ言っても全体を語った事にはならない。なんというか、全体としての味が素晴らしい。
俺も涙を飲んじゃうだろう。これ買いそびれたら。

「布き冨草紙」。
亭主の放屁譚と後日譚を、鳥獣戯画風の絵草紙にしたもの。

茶席での亭主の放屁を、同宿時に反撃しちゃったもんね…ってな内容で、すごく笑える。
これって気まづい話のフォローの意味あいがあるんだろうね。
鈍翁が丁寧な丁寧な字でこのバカ文を書き上げているのが非常に印象的。
まさか後世美術館でさらされるとは思ってなかったんだろうな。


なんつーか、断腸と屁を通して、鈍翁の人柄に触れられた気はする。
それが展示の狙いだとすれば、それもどうかなとも思うんだけど。

おっと少しは他の展示も思い出して来たぞ。
御所丸茶碗「堅田」。ひっくりかえして高台を展示してもらえないものか?
庭園三足棚水指。なんじゃこりゃー。
「鈍阿弥」。本歌の鈍太郎見た事がないんで、なんかもどかしいよー。
そんなとこ。