ものと人間の文化史 木炭
樋口清之 著。
“軍需物資から見た戦国合戦”、という本を読んでいたら、戦国時代、炭の消費が増大。山は丸裸になり、炭の原料の調達の為に資源争いが起きていた、という話がでてきた。
そこで、仮説。
茶道は黎明期からずっと、木炭をやたらに使用しているけど、炭って社会的にはかなりの贅沢品だったんではないか?だって薪の方が未加工で安い筈だから。
今の茶道で薪を使わないけど、竈土構えなんてのもあったんだから、全く無縁ではない。今、炭しか使わないのは、小間にも広間にも薪の煙がふさわしくないからだろう。
なので、“ものと人間の文化史 木炭”を読む事にした。
何か答が得られるとしたら、このシリーズの本、という気がしたからだ。
日本の木炭の発展は、かなり茶のおかげらしい。
したがって、日本炭の完成には、喫茶の芸道化と普及が大いに力をなしているといえるのである。
茶道で炭を切断する、という行為が炭の品質を向上させたらしい。
江戸時代の武士の家計で炭代と薪代は大体同等。
価格差があるだろうから、炭よりも薪の方が使われていただろうが、思った以上に炭もポピュラーだったみたい。
でも庶民の事情は結局不明。いろいろ為になったけど、仮説は裏付けられなかった。
それ以外の情報で面白かったのは吉良上野介の話かな。
吉良上野介の死に場所に関して、炭小屋であったかの考察をしている。独立した炭小屋は武家屋敷にない、という事を考察した上で、
(前略)
三村、間、武林などと、納戸の板土を槍の石突きで破ったところ、中から皿、茶碗、煙草盆、炭取などを投げつける者があって、とうとう清水一学、笠原長太郎をたおして、最後に一老人を倒した。
(中略)
この上野介が殺された納戸は、仏間、茶室に隣りあっている一種の炭納戸であって、上野介が投げつけたのは、その中に入れてあった茶道具と炭の類であった。
茶道具の倉庫から茶道具で防戦か。
最後までお茶話が抜けない人だったんだね。
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