千利休のすべて

米原正義編。

いろんな人の利休研究の集成である。

結構驚いたのは、戸田勝久の“利休の茶会”:

『南方録』を除外して、利休を論ずることは出来ない、とするのが、私の基本的な立場であるが

勇気ある態度、つーか、平成7年の時点ではむしろ蛮勇。血の叫びみたいだ。


とはいえ、いろんな本で読み知った内容も多く、むしろいろんな人が書いている分それぞれの研究は若干薄い気もする。


さて、そんな中で、“利休の和歌”諏訪勝則奥村徹也が収穫だった。
利休が消息の中で詠んだ和歌狂歌を一覧してくれている。

狂歌を混ぜちゃうとオヤジギャグっぽくなるのは仕方無い。
でも和歌だけ並べても結構へっぽこ風味になっちゃうのがニントモカントモ。

  • 時鳥いつかと侍しあやめ草 一こゑいさやきかまほしさに
  • 山里にひとり物おもふ夕くれハ風より外にとふ人もなし
  • なかめつヽ今夜の空の秋の月心いたりて誰かみるへき

残念ながら、利休さん、和歌の才能に関しては突き抜けない感じがする。


千利休のすべて

千利休のすべて