数寄者日記
小林恭二 著。
無作法者を自認する作家が、「なごみ」の企画でお茶をやる、という話。
有名人にお茶をやらせる、という企画はいくつもあるが、グダグダ感が異色。
小林恭二に「やる気がない」というわけではない。「やれる気がしていない」のだ。
なので引いた感じで話がはじまり、いきなり本題に投入されてしまう。で、テンヤワンヤになる。
まずいきなり茶会、それも口切りの茶会に(亭主にも)説明無しに参加させられる。
途端に心細くなり、後ろをふり返ると、編集部の人々は
「じゃあ、頑張ってくださいね」
と帰ろうとする。
(中略)
「ですから、何でも経験だと思って」
こういう若手芸人体当り系番組並のフォーマットに投入される作家の方も大変だ。
そこで起きる事は一般の人には想像を絶することだ。だから面白い。はずなんだけど、私には容易に想像のできる扱いかも。むしろアルアル系?
さてその茶会への飛び入りから、お点前を習い、懐石の裏方などやって、各所の権威に取材。最後は茶会を開く、という展開。
こんなに環境に恵まれたなら、もっとがんばりゃいいのに、というのは茶人の感想で、作家はおもしろい本書くためにやっているので、おもしろくなればいいのだろうな。
最後、茶会で感動的に盛り上げるのだけど、どっちかっつーと、廻りの方々の好意におんぶにだっこな気もする。
この連載が終った後も、小林さんはお茶を好きでいてくれたろうか?それだけが気がかり。
- 作者: 小林恭二
- 出版社/メーカー: 淡交社
- 発売日: 1997/10/01
- メディア: 単行本
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