熱効率

久々に釜の話。

いまいちお湯が沸かない. どーも釜のせいもあるのでは?という気がして、いろんなもので湯を沸かして比較してみた。

炭四本を風炉で燃やし、500ccの水を10分間きっかり風炉に掛ける。前後の温度を計測する。

本当はガスに掛ける方が安定した火力が期待できるのだが、大振りの風炉と釜の関係性も考えたいので炭を使った。
そういう意味でいい実験とは云いがたいが、なんか傾向が見えるかと考えた。

使ったものは鉄瓶、やかん、やっすい錆びない筒釜、そして義母に譲られた棗釜。

No 種類 直径 初期温度 10分後温度 J/底面積
1 鋳物:鉄瓶 14cm 10.0 61.0 51.0 696.08
2 ステンレス:やかん 19cm 10.8 60.9 50.1 371.26
3 軽合金製:筒釜 13cm 13.5 51.7 38.2 604.70
4 鋳物:棗釜 17cm 12.0 48.7 36.7 339.72
5 ステンレス:やかん 19cm 14.8 63.0 48.2 357.18

順に実験したが、最後に棗釜あたりで火が弱って来た様な気がしたので、もう一度やかんを掛けて実験。第2実験とほぼ同じ結果なので、火が弱いという事はなかったと思う。

鉄瓶が大健闘。これは全体が小さい為、与えられた熱の大部分が水を温める為に使われたのだと思う。

ステンレスのやかんは良く温まったのだが、底面積の大きさの割には駄目だった。五徳の内径より大きいやかんだったので、火が底すべてにあたらない、という事を考えると割り引いてあげないと可哀想かも知れない。

軽合金の筒釜は、温度上昇は低めだが、底面積あたりであれば悪くない。

鋳物の棗釜は温度上昇量も底面積あたりも全部駄目。


今回の実験で判る事は、全体に小さい方が熱を有効に使える、底面積が広い方が有利だけど、広すぎても炭の有効範囲を外れる。背の高い釜は不利、ということかな。


棗釜の高さは実用上はもっと不利。鐶付の位置まで水をいれた場合、温めねばならない水の量は結構多くなってしまうのだ。釜に入ったたっぷりの水を上まで充分に温めるには、私のつぐ炭では火力が不足しているって事なんだろうな。

もっと背が低く、容積の小さい、そこそこの底面積のある釜の方が有利な気がする。
小振りの富士釜とか真形釜とか尻張釜とかが欲しくなって来た。