数寄屋の職人

伊藤ていじ監修。

京の大工、東京の大工、銘木屋、銘竹屋、北山杉屋、木挽、鋸鍛冶、鉋鍛冶。さまざまな職人にインタビューしたインタビュー集。

京畳と田舎畳の違い:

伊藤 内法勘定の場合が京間になるわけですね。すると真勘定の京間ということはないわけですか。
北村 そういうわけです。京間と言うのは畳の寸法が六尺三寸と決まる。田舎間の場合は柱の太さによって畳の寸法が変わりますね。(略)けれども京間では、柱がいかに太かろうと細かろうと、関係ござりません。

真真勘定と内法勘定。こんな判りやすい解説があったろうか。

北村 いやいや、逆勝手も結構です。何でも結構ですけれども、茶の作法というのは足数までいうて、踏込畳と道具畳、それのあるかぎり作法によっていくもんです。
(略)
やはり作法だけはどこまでも守っていかんことには、茶席はできまへん。作法が成り立っていかんことになります。

大工が作法を知っていて、間取りの相談ができるというのは実に贅沢な話だ。

道具の話、素材の話。技法の話、修行の話。老人のグチ。どれも面白かった。茶室を建てる、なんて事があるかどうかは置いといて、知っておいて損はない話だと思う。