昭和30年おもしろ実験茶会

臼井史朗/淡交/1992年。

この本が扱うのは7つの茶会。主人は菊岡久利/棟方志効/岡本太郎渋澤秀雄坂東蓑助/町春草/北大路魯山人
あまり、茶の心得のない、いや全く茶の心得のない、あるいは全然茶事に向かない性格の亭主が茶会を開く、という企画もの。

やはり岡本太郎の茶会が一番おもしろい。

赤団肉上になま卵が三つ、眼光けいけいとか輝いている。
(中略)
由起 味覚的にはいいかも知れんけど、どうもね、心理的に…
主人 だから心理的に超越すればいいんだ。

岡本太郎にいわれりゃ超越するしかねーじゃねーか。

丹下 僕には、よくかきまわせてくれよ。
主人 泡ふくほどかきまわすぞ……。

楽しい?主客のやりとり。

…しかしながらこの本、ちょいと「企画がすべて」過ぎる。客と亭主の会話に頼りすぎる。

客がすごい、亭主がすごいのは伝わるんだけど、その茶会がどういう茶会だったのかビジュアルに伝わりづらい。筆力に不満あり、である。

逆説的に言うと、茶道の枠組から外れてしまった場合、客と主がすべてになってしまうのかもしんないな。

昭和30年おもしろ実験茶会

昭和30年おもしろ実験茶会