漆の層

春になって、気温が上がって、漆が乾く様になった。

漆を塗り重ねる、というのは、とどのつまり、こういう事だ。



下の層に、筆や刷毛で新しい塗膜を重ねる。
筆目、刷毛目ができるので、それを削り落す。

すると新たな平滑面ができる…筈なんだけど。

実際はそう旨く行かない。



削り落すところで、削りすぎて下の層にまで削り落してしまう事がある。
すると、下の層が見えて、妙なモアレ模様みたいなのが出てしまう。

こういう事になる理由は、曲面とかで均一に削りにくい、というのがまずある。
しかし、最大の理由は、重ねた塗膜が薄いから、だと思う。



塗膜を厚くしようと塗料を分厚く塗ると、表面と底での収縮差で皺がより、削って平滑、以前に削り落してやり直し、になる。

皺が出にくくするには乾燥速度を下げればいいので、テレピン油を混ぜて乾燥を遅くする、という作戦がある。
しかし、テレピンで薄まった漆は薄く広がってしまい、分厚い塗膜にならない。
薄すぎると、弾かれてボツボツ穴が開いたようにすらなる。

ってな事で結構苦戦しながらやっている。


苦戦の理由なんていくつも考え付く。

  1. 筆の性能が悪く、刷毛目がつきやすい
  2. 漆の品質が悪い
  3. 研磨方法がおかしい
  4. 乾燥方法が悪い。
  5. 乾燥時間が短すぎる。

最後の奴の疑いはかなりあるなぁ。一日しか乾燥しない事結構あるし。

ただ、最近もしかすると、と思っているのは、上記の様な些細な事でなく、そもそもなんか致命的なナニカが間違っている、という懸念。

どっかプロに学ぶか。といっても、近所じゃ金継講座とか、そんなんしかないしな。

なにせ独学、というのは壁に当たると辛いわね。