白崎秀雄
「鈍翁 益田孝」「三渓 原富太郎」を読むと、白崎秀雄、すげえな、と素直に思える。
多くの「近代数寄者」ものの書物は、高橋箒庵の著作+野崎幻庵の著作+αの引用で書かれているのに対し、白崎秀雄はちゃーんと取材してるからである。
恭平の孫恭一がはるかに後年、新橋の古老に
「うちの爺さんの千人斬りといふのはいくらなんでも嘘でせうね」
ときくと、
「嘘ですとも、千人位できくもんですか」
と、いはれて絶句したことがある。わたしが恭一からきいた話である。
こういうのは取材しないと出て来ないよな。内容はともかく。つーか馬越化生、男ぜ。
わたしは、さういふ女のことを原の長女春子の友人からきいたのである。その人も十年近く前に亡くなった。
10年前に取材していた、という告白なのだから、えれえ長期取材である。
ここまで取材してるからこその面白さなんだろうなぁ。
…あ、あとは「耳庵 松永安左ヱ門」を読まにゃぁならんな。