箒のあと 七十九 紅艶の暹羅土産

往時日本に傳來した南洋産道具中に、茶人が宋胡録と稱せし者あり、土味粗鬆にして、鼠色地に黒釉の粗雑なる模様ある焼物であるが、従来其産地が判らなかつたのを今回紅艶が暹羅にて調査の結果、同地にスンコローと云へる地名あり、近來此地の古陶窯趾より、宋胡録同様の陶器が發掘さるヽ事を探知して、終に千古の疑問を解決したのは、眞に紅艶暹羅入りの偉勲であつた。

益田紅艶は、茶道具の源流…というかぶちゃけ香木探しにタイに探検に行ったらしい。


んで、発見したのがスンコローという地で、そこで同様の陶器が見つかった、という事だそうで。

スンコローとは現在で言うところのサワンカローク郡。


サワンカロークが実際に宋胡録の産地かどうかは諸説あるらしいのですが、サワンカローク、即ち「天国の世界」という名称は、あの暢気な焼物にはなんともふさわしいと思いますな。


しかし、それまでの茶人は宋胡録はどこの焼物で、なぜそんな名前なのか?についてどんな説を立てていたのか気になりますよ?

とりあえず「茶家酔古集」には宋胡録の存在はないみたい。