不可得斎茶事之序 附茶と陶瓷

中尾生/寶雲舍/1939年。

不可得斎茶事家元 不可得斎の三回忌に出版された、不可得斎茶事の本である。


不可得斎茶事家元 不可得斎こと、薬学博士 中尾生は、本願寺大谷光瑞の支援を受けて、自流派を立ち上げた、らしい。


さて、不可得斎茶事とはどんな茶事か。


この絵を見れば、大体、内容が想像できるのではないか。

我々逸民が抹茶を飲むで御互に話をしやうと云う時には、まあ斯んな風にやつて見たら良かろうと云ふのが不可得斎の茶事で、従来の茶湯とは全々別の物です。

つまり、釜を中心に車座になり、まず正客が盆の茶を点て、自服する。次の客に杓立を渡し、次の客が茶を点て、自服…という手順。


この発想は、無かった。


なおここで言う茶事は菓子茶事を指す。

そりゃそうだわな。だって、席の真中に釜がでーんと居座ってるんだもん。
懐石の食べようがない。


自服、でなく、亭主からお茶を点て正客に勧め、正客は次客にお茶を点ててあげる、という風にした方がおもしろそうな気もする。


ただ、水指があまりに遠すぎる気がするんですけど…どうかな?