茶人言行録


石田誠齋/河原書店/1937年。

茶人の逸話集というのはいろいろあるけど、この本の記載ルールは大変優れている。

  • 逸話原文
    • 引用元の明記
  • 考証

例えばこんな感じ。

細川幽齋

蒲生氏郷、嘗聞幽齋多蓄蔵茶具、使人請觀其器、(中略)乃出數品視焉(野史)
此茶入元來は細川家の所持なりし、(中略)當時越中守へ譲られ候由也(明良洪範)

◯誠齋曰

蒲生飛騨守氏郷は幽齋細川藤孝茶の湯の數寄者であつて
(後略)

この本以降にこのスタイルを踏襲した本はあったろうか?


そうしてくれていれば、茶史は壮大でバカバカしい伝言ゲームの迷路から解放されようものを。


…ただ、引用元のかなりの部分が"野史"とかいう怪しい本からなのがいまいち冴えないね。


でも考証もなかなか優れているので、明日以降この本からいくつか紹介するつもり。