茶人言行録6 織部の破滅

古田重能について。

織部正は古き玩器の全きをば餘りに思ふ所なしとて好まず、
(中略)
松平伊豆守信綱の實父大河内金兵衛久綱常にかたへの人に言ひしは、必ず禍に罹りて死すべき者なりといひき、
(後略)

原典は藩翰譜。


藩翰譜では織部を茶道具を壊しては自分好みにする狂人の様に扱い、知恵伊豆の父親がその没落を予言していた、という話になっている。

如何に重能に奇を好むの惡癖があつたと言ひ條、正可完全なる書畫器物を破損し、之れに修補を施して樂んだ程の強靭ではなからうと思はれるが、彼れは自から好んで此の狂態を敢てした所の痴漢であつたであろう乎。

しかし著者は織部に関し、非常に好意的…というか、まともな人だったんじゃねーの?扱いである。

故に此の物語の一條を仔細に吟味して見ると、松平伊豆守信綱の生父大河内金兵衛久綱常が如何にも先見の明のある傑物のやうに、故意に君美が誇大の筆を弄して
(後略)

織部が悪く言われるのは、徳川の治世での儒者のへつらいに過ぎなかったのでは?と推測している。


んー、俺の感覚では、藩翰譜の方が“若干”近い気はするんだけどね。