茶道雑話

井口海仙/河原書店/1936年。

戦前の茶道月報に寄稿したエッセイをまとめたもの。


今回は「春臺と信充」を紹介。

ここでいう春臺は、太宰春台のこと。以下で紹介した茶に反感を持つ儒者である。

http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20100406
http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20100414


信充は、百年ばかり後に春台に反論した栗田信充。


信充は言う。

但其そしる處を聞に、文盲茶人と、商賣茶人との上のことにして、閑雅自適の眞茶人を知らざるより起る、夫は茶人ばかりの事にあらず、儒者と云儒者に眞の儒者なし。

つまり春台は勉強不足だっつーわけですな。

春台はいう。

近き世の茶人は利休居士を祖師とす利休は獨身の禪門にて、貧賎なるが(筆者これには大いにふき出した)草庵のせまき内にて、茶を樂めるを

まぁ確かに利休がびんぼーな独身、というのは事実誤認も甚だしいわねぇ。

なお()内は井口海仙。先祖が金持ちの女好きである、というのを糊塗しないのがすばらしい。だから井口海仙は好きなんだよ。