藤田美術館 季節を愉しむI 秋〜新春の美術

秋〜新春の美術というが、概ね年末から新春の道具組。真形羽付高砂釜とか、雪中梅花小禽図とか青鬼赤鬼の追儺面とか。


大井戸茶碗「蓬莱」は、ナリ良く色良い大井戸だが、梅華皮が高台の外に見えないのが残念。

黒漆地三番叟蒔絵茶箱の朝日焼替茶入。
昔から耳付茶入に「聞かざる」とか形態から銘を付ける事があったが、さしずめこれは「ボーちゃん」という感じか。

ノンコウ黒楽「朽葉」ノンコウらしからぬ飴色釉のめだつ黒楽。


南蛮〆切芋頭水指「秋の月」。変なナリ。
私はハンネラとか南蛮物は無条件で好きだ、と思っていたが、ナリがそれなりに良くないと駄目なんだな、という事が判った。


宗旦作の菊絵手張漆塗桶形茶入。曲げで手付の蓋がついた不思議な茶入で、溜め塗仕上げの上に朱漆で(ヘタクソな)菊が描かれている。

藤田さんの宗旦物は08年春季で見た瓢茶入「老茄」(珠光の瓢箪茶入に宗旦が朱書きした奴)など、怪しい品が多い気がする…。


宗入黒楽「鉢たたき」。ぼつぼつと気泡の空いた様な小さい黒楽。好きになれん。

楽茶碗はせこせこと筆で釉薬を塗って作る。つまりこの気泡は作意であって、炎と偶然の産物ではないのだ。
楽が好きになれない原因が再認識された瞬間である。


青磁茶碗「満月」。堆朱の天目台が添えられているが、ナリはあくまでも茶碗である。じっくりみると金覆輪の表面がざらざらしているのに気付く。どういう口当たりなんであろうか?


今回は掛け物等が多く、いつもの茶道具の飽和攻撃!的な迫力が無かったのは少々だけど残念か。


なお次回春季展は「季節を愉しむII 春〜初秋の美術」秋〜初春だとそーでもないが、春〜初秋だと「ざっくりしすぎだろ!」とか思えるのが不思議。