利休茶話3 宗及の欠席裁判

利休と宗及が絡む茶話っていくつかある。

宗及が利休の元を突然訪れ、主客一体の茶事となる話(南方録):

(前略)
「この様な客に出会ってこそ、湯を沸かし、茶を点てるかいがあるというものです」と言われ、この客ぶりを後々までも語られたという

宗及が利休と三斎を茶事に招き、しょうもない事を言ってけなされる話(閑夜茶話):

(前略)
「宗及殿の話は、堺の茶人として恥をかいたことですよ。茶の湯では、古いすだれをかけてこそおもしろいのです」
(後略)

宗及を褒める話は、「宗及も偉いが利休も偉い」あるいは「宗及も偉いが褒めた利休も偉い」という構造を持つ気がする。


宗及をけなす話は、「宗及は馬鹿、けなした利休は偉い」という構造を持つ気がする。


思想も流派も残さなかった宗及は代弁者を持たない。

利休を顕彰する為に一方的に褒められたりおとしめられたりする宗及は、あまりに可愛そうじゃないだろうか?