茶書の系譜

筒井紘一/文一総合出版/1978年。

あまたある茶書の歴史と流れをひもといたイカす本。つーか凄え。

  1. 利休百首の原型は宝永5年書写の「茶湯秘抄」
  2. 松屋天王寺屋以外にも茶会記がこんなにあった
  3. 珠光の詳細な伝記が成立したのは元禄年代

みたいな事が書いてある。


何がすごいかといって特に巻末の年表が素晴らしい。どの図書館にどの様な資料があって、それはいつの刊行あるいはいつの書写か、というのがびっしり書いてある。

これを読むと、利休百回忌の出版ラッシュまで、茶書の世界は石州流のものだったんだなとか如実にわかるぜ。


あと、南方録も松屋会記も、江戸時代には一回も刊行されていないらしい。人づての写本だけでこれらが普及したって事だよね。この時代の茶人の熱意ってあなどれない。


23区では港南の図書館。閉架/保存庫にはそこそこあるけれど開架はここだけか。