近世道具移動史

高橋義雄/有明書房/1990年(原著は慶文堂1929年)。


高橋箒庵が、江戸末期から昭和初期までの茶道具取り引きについてまとめた本。

箒庵は、この期間を三つに分けている。


かいつまんで説明すると、

第一期 明治元年〜明治二十八年:


明治十二年頃までの茶の湯の衰退と、その後の道具取り引きが段々盛んになっていく時代。
この頃は入札ではなく個人取引中心。


第二期 明治二十九年〜明治四十五年:


平瀬家の入札会があったり、藤田傅三郎が交趾大亀香合を落札させて死んだのがこの頃。
おかげで入札でガンガン落としてたイメージが強いが、実はまだ個人取引が多かった。



第三期 大正時代:


各大名家がどんどん道具を手放し、第一次世界大戦による成金が手に入れる時代。
関東大震災と戦後不況の中でも次々と価格の記録を塗り替えていく入札会の時代。


この本を読んでこんな感想を書くのはナニかもしれないけど…日本は戦争を繰り返し、他国の戦争に乗じる中で、めちゃめちゃ儲けてたんだな。そして富は資本家に偏在しまくり、それを労働者に還元するなんて考えもせず茶道具に投入していたんだな〜なんて事を感じてしまった。

うーん、左の方々が共産革命起こしたくなるわけだわ。


近世道具移動史

近世道具移動史

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