茶事
畠山即翁/畠山記念館/1981年。
畠山記念館で300円で売っている小冊子である。
巻頭にこうある。
本書は、戦前に当時の荏原製作所畠山一清社長が同社社員に講説した大意であるが、ここに印行して好事の向きに頒つ次第である。
お茶について社長に熱く語られてもなー。「あんたの道楽の源泉はわしらの労働!」とか反感持ちそうだ。
内容はお茶の歴史と、初心者向け客作法。
ある点を除いて、さほど特筆すべき所はない。
その“ある点”:
携帯品 (1)扇子、(2)袱紗、(3)懐紙、(4)手拭(ハンカチーフ)、(5)白足袋(穿き替え用)、洋服の場合、(5)はなるべく黒靴下を用意すべし
黒靴下!
大抵の茶道入門書が白靴下なのを考えると、凄く斬新だ。
さすがだぜ即翁さん。
白足袋→白靴下、という単純な置き換えは、ファッションとして成立しているかという視点が欠けていると思う。
男としては、いい年して白靴下は恥ずかしいので、この意見は大変にありがたい。
あと、昔、銅鑼をしゃがんできく客作法はいつから始まったのか?という話を書いた。
http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20091014
かくて準備なれば銅鑼その他の迎付けによつて後入が行なわれる。
この合図は一段と静寂に、連客一同蹲踞して傾聴三昧に入る。
この部分が戦前の講話通りであれば、しゃがむ客作法を記述したもっとも古い資料かもしれない。
しかしながら、この小冊子の形態に昭和58年以降に編纂された時に付け加えられた作法かもしれないので、ちょっとなんともいえないところですな。