益田克徳翁伝3 イカ娘

横臥的茶の湯、という章に以下の記述が有る。

九州、岡山、佐渡、其他の片田舎から上京した以上の諸氏も、何時ともなしに、平板的であつて秘密のない、江戸つ子商人の気分に感染したのみでなく、却つてその風を喜ぶやうになり、彼等の間に行はれてゐる習慣言語を、その儘に真似ると云ふやうな結果となつた。
(中略)
諸氏は何れも通人たるに恥ぢざらんとする用意から、「左様でげす」、「左様でごす」、「冗談でげせう」「いけねいや」「買いやせう」と云ふやうな語を、好んで使用し、そこに町人風でもなく、士人風でもなく、一種特殊の風格を作り上げて了つた。

そうか。

馬越化生もそうだけど、この「でゲスね」みたいな喋り方って、仲間内の会話の雰囲気を作るために、通人の場を作るためにわざわざやってたのか…。


この前、明治頃?の古本で“通人の栞”というのを見掛けて「マニュアル主義の通人なんて!」と、思ったけど、みんな通人になりたくて仕方なかった時代があるんだねぇ。
なんだかかわいいじゃなイカ


ただ、近代数寄者達が通人を目指してしまったのって、初期の近代数寄者達がそろって江戸千家で稽古をうけていたことと関係あるかもね。式守蝸牛とかもいたわけだろうし。