利休居士 餘香録2 戦争の足音

餘香録には三千家の家元の言葉が載っている。

さて、その中から抜粋。

千宗左(即中斎)

我國は今や國民の誰れしもが滅私奉公の誠を致すべき秋であります。
私共の茶道に従ひ得るのも必竟皇國のお陰であります。
國内のあらゆるものあらゆる事について申すべきであるのは勿論であります。
總て報國の誠の基にたつべきであります。
今日私共は茶道を通じてより多く、否最も多く寄與する事を考えるべきであります。
茶道を通じて如何にしたらば私を捨てゝ國家に最も盡す事が出來るかといふ事を考ふべきであります。

千宗室(淡々斎)

我邦は今や未曽有の事變下にあつて、朝に幾多の英霊をむかへ、夕べに隣保應召の勇士をおくり、我々國民にあつては、銃後のかために餘念なく、洵に緊迫した状態の社會にありながら、我等の斯の道の人として、居士の遺風を傳へて、よく今日あることを得るは、聖代に生を享け、偏へに大君の深き御恵みによるものと、感謝おく能はざる處であります。
(中略)
本年は恰も、皇紀二千六百年に相當いたしまして、一億同胞悉くが慶賀の意を表しつゝある一方、おもひを肇國の大精神にはせ、八紘一宇の大理想の實現に、邁進すべきについて、堅忍持久、質實剛健を強調させられて居ります。

私はこの時代の本をやたらに読んでいるので今更どうも思わないが、こうやって読み直すと千家にも戦争責任をかぶせたくなるなぁ。ちょっぴり。


千宗守(愈好斎)はそういう事は一切言わず、もっと興味深い話をしている。
それはまた明日。