花入の賞翫

花は花入を賞翫するためにある。

花入は花を賞翫するためにあるわけではない。


実は、これは簡単に立証できてしまう。


松屋会記 永禄十年。

メシ過テ、床ニ鶴ノハシ、ヌリ板ニ、花不入ニ水斗、

歴史上、花入に水だけ入れて出す、という例は数多ある。
しかし、花入無しに花だけが床に置いてある、という例は見ない。

これは花入が主だからである。

花が主であれば、前者の例を見ず、後者の例は見る、筈だ。

以上、証明終了。

…。

…。

…。

あ、でも…よく考えたら、このパターンでお茶はお茶碗の賞翫の為に出される…って論旨も展開できそうだ。茶碗無しにお茶が出た例はおそらく絶無だから。

同様に水は水指の賞翫の為とも言える。

…ちょっとこの論理は無理が過ぎたかもしんない。