わびの芸術3 日本人は華美を好む
著者は指摘する。
いずこの人種でも、美しいものを制作し、これを観賞し、悦ばないものはないであろうが、なかんずく日本人は特別に美しいものを好む国民である。
以後束帯や十二単などを題材に、日本人が過去どれだけ華美な物を好んで来たか、を延々語る。
これらの「もののあわれ」や「幽玄」を賞する人情と華美を好むこととは多少矛盾しているように思われるが、この矛盾が厳然と両立するところに、わが国の人情の特質があるように思う。
侘びという美意識を説明するにあたり、「華美を好んだ」というもう一つの美意識を持ちだしてきているのが面白い。
「んなキンキラしたもん成金みたいで嫌」そういう美意識は一般にも浸透している。そういう意味では日本文化は侘びがやや優勢で進んで来たのかもしれない。
…いまどきの若い人たちはわからんけどね。