實用女子手紙の枝折2 道具収集

道具収集について。

年若き乙女方の茶を學ぶに其の業の十分達せぬ中に何や彼やらと色々のよき器物を集むることに熱中する傾きが得て有り勝ちである。

ぬぅ。

こう言ってはなんですが、女性と言うのは(あくまで男性に比してですが)茶の湯道具に耽溺するよりも、むしろお点前やお稽古自体を楽しむものだと思っていました。

大正末年には、女性方もがんがん道具を買っていた、ということなんですかね。

でもですな;

此等のことは實に大なる間違て其も年若き女の茶を學ぶと云うことは禮儀作法を覚えて而も種々なる物品の取り扱ひ方の大概を知らさむが為に外ならざれば之を學ぶに足るだけの器具を用意して置けば足りである器物の事に就て彼れ是れと云ふは以ての外の沙汰の限りであるのである。
假し家に如何ほど餘裕があるも器具の美なる物を集むるなどゝ云ふ考は夢にも起こしてはならぬのである。

だからといってここまで道具収集を禁じなくてもいいんじゃないかと思いますが…。

女性方も目に余る程道具に耽溺していた、というのなら、それはそれで幸せな世界だと思うんですけどね。