数寄です!壱

山下和美/集英社/2011年。


漫画家、山下和美が数寄屋を建てるまでをレポートするエッセイマンガ…の一巻。
…ということは、建てる数寄屋は経費で落ちる、ということじゃろうか?

ま、それはさておき。


懐かしいよな、山下和美

モーニングの黄金期を支えた一人…の筈なんだが、いまいち細部が思い出せない。
思い出そうとするとなぜかK井K一の顔とかがうかんでしまう。


マンガは、絵のうまさが全てではない、とは良く言うが、実はストーリーすら全てではない。内容がしょーもなくとも、そのドライブ感でわくわくするマンガだってある。

山下和美にはそういうわくわく感が足りないんだよな。

ま、それもさておき。

ちなみに山下は「和」が好きです
和風ではなく「和」です

から始まる数寄屋作りの冒険。

金策、土地探し、数寄者修行…。ありゃ、1巻じゃ数寄屋の設計にすら行かないんだ。


まぁそれはいいとして。


著者が思っている「和」と「和風」がどういうものかについて説明が一切ない。

「和風」と「和」の差が、著者にとってどんな価値があるのかも説明がない。

それの説明がないと、著者の、数寄に生きようというこだわりがどれくらい強いのか判らない。

そして、こだわりがない数寄道なんて、なんの価値もない。


このマンガの弱さはここに尽きるのではあるまいか。