泥中庵今昔陶話

眞清水蔵六/學藝書院/1936年。

二代目真清水蔵六が雑誌「茶わん」に掲載したエッセイが中心。

昭和10年に出版した本だが、昭和11年の蔵六の死により、追悼文付で再販されたものか。

窯跡話、土質話、偽物鑑定話が多い。

技術的な話が素人には判りづらかったりもするが、内容はおもろいと思う。


まずは井戸の話。

なぜ井戸茶碗は井戸茶碗と言うか。

幾ら英雄豪傑でも昔は井戸水が無くては堪りますまい。
(中略)
昔の和歌に
  心よく茶を味あへば夏冬も井戸一つあれば深淺も汲む*1
(中略)
偖て御茶人も、井戸茶わん一個あれば夏冬なく一ヶ年中茶は樂しめます。

見込みの浅い/深いに関係なく、井戸は夏でも冬でも使える、必需品みたいなものですよ、みたいなお話の様です。

…まったくもって知らない説。

現代に伝わってない、ということは説得力が足りないで廃れた説なんだろうか。

茶は、先代からの知識を連綿と伝えている様で、実は結構伝えなかったり珍説を追加したりしている様な気がする。

*1:原文は戸+斗