小笠原諸禮大全

法橋玉山/1809年。
法橋玉山は絵本太閤記の挿絵を書いた人。今回挿絵は別の人…よくわかんねーな。


江戸時代、化政文化華やかなりし頃。

将軍家の礼法指南として小笠原家がその任に当たった。当然流儀はお留め流になり、一般には流布しないはずだった。

だが、どういうわけか、豊かになっていた町人達を相手に、勝手に小笠原流の礼法を名乗る道場が乱立していた。

そんな中で書かれたのが本書である。

つまり、この本に書かれている事はインチキなのだが、ある時代の多くの人物が信じこんだインチキを、ただインチキと切り捨ててよいのだろうか?

貴人の前にて鼻をかむ事

次へ立ちてかむべし
立退ざる首尾ならば下座へ向ひ少し低くかみて鼻をぬぐひをくべし

こんなどうでもいい事、本式の小笠原流にはなさそうな気がする。


にしても、貴人に関するネタが多い。
貴人の家に行く時はどうの、貴人に風呂をさしあげるときはどうの…

貴人と交流する、というのが当時の町人の憧れだったんだろうなと思う。