小笠原諸禮大全3 濃茶の事

小笠原諸禮大全にある供応の様子は、本膳料理ではなく、懐石料理である。

汁かへようの事

汁は盆にてかゆるなり
かへたる汁には勝手にて外の蓋をして持出右の手にて蓋を取盆の傍に置両手にてさし出すべし

これは懐石の汁替えだが、本膳料理ならこういう事はしないはずである。

もはやこの時代、供応と言えば茶の湯、で、もはや町人に本膳料理というのは考えにくかったのかもしれない。

で、食籠も出て濃茶まで出る。

濃茶の事

本式は一人一ふくづつの礼なり。
しかるに近年茶の湯者流の式とて一ふくを数人に廻し呑事よからぬ事なれども当時流行の事なればこれも礼の一ツに成りき

しかしながら、礼法の側では茶の湯を礼法の一部と認めていない。

伊勢貞丈も同じ事を言っているが、もっと強硬である。
http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20090526


でも「まぁ流行ものだし取り入れて礼の一部ということにするか…でも本式は各服点てなんだからねッ!」ぐらいの迎合はしていたわけか。

懐石を否定すると、皆のコンセンサスの得られる供応の仕方がなくなってしまうので、こういう書き方になったのかもね。