懐石料理とお茶の話 八百善主人ものがたり6 掛軸

八百善の主人は掛軸の表装に一家言ある方だったとか。

筆、掛物に使う布(きれ)のお話に入りましょう。

主、これが我々の一番苦労する処ですね。古いものに古い布と云うことになりますが、大体掛物に使う布は掛物に使つてあつた布が一番よろしいのです。
布のまゝで二、三百年保存されて居つたものはどうも掛物にして見てそれだけの古さが見えないのです。
それでどうしても古い掛物で中身が贋物と云うものを心掛けて手に入れて置く必要があります。

筆、本当にそうですね。昔の贋物には立派な表具のしてあるものが沢山あります。
あれは表具で驚かして中味の贋物をごまかすのですね。

古い、かつ怪しい掛軸にも使い道があるって事か。

でも骨董屋で見る掛軸って、紙表装のが多いよな…。もはやそういう目的で買い尽くされちゃったのかもね。