一文字と上下
本紙の外を回る布が一文字。
その外が中廻し。
一番後ろの布が上下。
呼び名としてはこうなっている。
一文字、という名は、真の行/行の行/草の行の、存在していてしかも四方をめぐらない状態を前提に名付けられている。
一文字が排されたら、名は成立しない。
四方をめぐるのは一文字とは言えない。
上下、という名は、行と草の、上下が分離した状態を前提に名付けられている。
四方をめぐったら、もう上下とは言えない。
掛軸のこれらの用語は本来、行の行/草の行の掛軸の為の用語ではなかろうか?おそらく行の行があまりに一般化した後で作られた用語だと思うのだが…。
各種初期茶道の茶会記にもこれらの用語は使われている。
という事は、茶掛け以前から、掛軸には行の行が存在してポピュラーだったという事になる。
真の表装は、仏教関係でずっと続いてきたとして、茶の湯以前の行の掛軸は、どの様な用途で使用されていたのだろう?
その辺すっごく疑問になってきた。
それと、表装の真行草の分類が出来たのはいつだろう?
行(もしくは草)の草の表装は、珠光による鷺の絵の表装以前は無かった可能性はある。
少なくともそれ以降だとは思うのだが。