松屋銀座 上田宗箇 武将茶人の世界展

松屋銀座の8階会場に足を踏み入れると、上田宗箇所持の担い茶屋がお出迎え。

天秤の片方に風炉が、もう片方に金物の茶壷がしつらえられた、茶壷が珍重されていたころの雰囲気の伝わる道具。

その横には、派手派手の陣羽織。
いきなり桃山の空気にひきずりこまれる。


そして織部灯籠(梅澤記念館蔵)に荒木高麗(徳川美術館)をはじめ、かなりいろんなトコからいいもの借り出した展示。

一個一個コメントするのは大変すぎるほど沢山道具が展示されている。


もちろん上田宗箇ゆかりの道具もいろいろアリ。

上田宗箇好みの台子。唐金の皆具なのだが、いつの時代のものなのだろう?

有名な茶杓「敵がくれ」。エピソードはおもしろいが、正直茶杓としては凡庸か。
それに限らず、上田宗箇の茶杓遠州ほど楽しくなく、利休ほど厳しくなく、いまいち気の抜けた感じのするものが多い。

有名な茶碗「さても」。茶人手捏の茶碗にはろくなものがないのが普通だが、これはいい茶碗。でも隣に長次郎と光悦が置いてあるので、とんだ恥辱プレイ。

上田宗箇の道具で一番おもしろいのは竹花入。どれも素敵である。
茶杓では無造作に竹を選んでいるのに、竹花入は厳選しているとしか思えない。

面白かったのは茶室「遠鐘」の再現。燕庵形式の茶室の、客座あたりから向こうを再現したもので、客の座る辺りから点前座の距離感で道具が拝見できる。これは嬉しい。
点前座の道具は志野茶碗と備前耳付水指と唐物驢蹄茶入。ちょっと取合せとしては微妙なちぐはぐ感有り。

鎖の間の再現は、それほど面白くはない。
鎖の間は、茶室との関係性が重要であって、そこだけ再現しても変な部屋でしかないからだ。
でも、そこで上映されていた「袋棚点前」のビデオは、ものすごく面白い。
ここだけで元が取れる感じ。

あと売店では上田宗箇流の茶書が買えるのもうれしい。
三冊も買っちまったぜ。

1/16まで。