茶道要鑑17 客作法
さて、例によって中立の作法について。
報せの喚鐘または鉦が鳴れば、主人が直接迎ひに來たのと同じであるから、上客は腰掛より挨拶石まで出でて謹んで之を聴き、高話や大笑ひなどして、報せの合圖を知らず過す樣では失禮だから、能々心得ねばならぬ、
瑞穂流では「蹲踞して鳴り物を聞く」という風習は、やはり無かった様だ。
聞き終つて客は之に對への合圖をせねばならぬが、腰掛の脇に木鐸か、木魚が釣つて有るから夫を打つ、
客が中立の鳴り物に、鳴り物で答礼する、というのは珍しいかも知れない。
亭主は「準備万端整いましたんで入ってください」の意味で鳴り物を鳴らす。客は鳴り物で何を知らせるのだろう?
「聞こえましたよ」ぐらいの意味しか感じられないのだが。それよりはさっさと席入りした方がよいんじゃなかろうか?
而して鳴物は同輩以上の人には打たず、主人自ら足を運んで迎ひに出る、
亭主は、同輩目上に対しては迎えに出る。
ならば、客は鳴り物を使うことはないだろう。
という事は、亭主は目下に対してしか鳴り物を使わない。
では、客は目上の亭主に対して鳴り物を使っていいのだろうか?
すっごく疑問の残る作法の様な気がする。