淡々随筆6 お茶の菓子

昭和15年の記事。

お砂糖不足の今日でもなほ電話一本かければどんなお菓子でも即座に間に合はせることが出來るのは御代の有難さで御座います。

昭和17年の追記。

(附記)
此の記事を讀み直して、わずか二年足らずの間にすつかり時代が變つた事に驚きます。

昭和16年から配給制度が開始したので、さすがの千家でも簡単にお菓子が手に入らなくなっていた模様。

どんな菓子を好むとか、菓子に對してどんな希望を持つてゐるかといふ質問はいたるところで受けますが、元來私は菓子はあまりすきでないといふ建前にしてあります。それでないと、茶をのむ關係上、その都度菓子をいたゞいてゐると相當の量になるからです。

家元に限らずお茶の先生すべてがお茶の飲み過ぎ、お菓子の食べ過ぎになやんでそうな気がする。

でもまぁ家元クラスの人は、どこへ行っても「家元が来たら茶でもてなそう」とてぐすねひいている方々が待ちかまえているわけだから、この悩みは必然なんだろうなぁ。