實用茶道讀本8 茶人の種々相

總體に茶人には、極めて厳格な人々が多いやうに見受けます。
何も最初から厳格な人ばかりが茶道に親しむと云ふ譯でもありますまいが、どう云ふものか融通のきかない一徹な、きかぬ氣性の人の多いことは事實のやうであります。

著者は、茶人はどうしてかかたくなな人が多い、と言います。

然しながら此の氣性は茶道に漂よふ傳統的な雰囲氣であるとともに、茶道精神の一つである禮節を重んずるの餘り、約束を守ること頗る固く時間を勵行するなどの習慣が積つて習性となり不知不識の間に育くまれたる厳格さであつて、恁う云ふ茶人同志の集まりを第三者が見聞するうときは、閉鎖的にも排他的にも見えることと思ひます。

それは茶の湯の、時間を守ったりという習慣が精神に影響して「そうなってしまうんだよ」という、ある意味恐ろしい話です。
「伝統的」というのは、著者の茶人人生の期間、そういう人を見聞きし続けたという事でしょう。

が決して左様なことはなく茶事とか茶會とかの場合に態度が、さう見えるのであつて、普通の人と少しも違ふことはなく、唯如斯個人個人の氣分とか色彩とかの為め、茶道が依然として隠遁的に逃避的に見ゆるのであります。

が、別にそう見えるだけで、みんな普通の人なんですよ。一人一人見るとそういう風に見えるだけで。

一人一人が「そう」見えるというのは、結局「そう」なんじゃねーか。
…フォローを入れている様で入れれていないのが…なんとも。

外部の人が茶事や茶会で遭遇する茶人は、普通な人の筈なのにどこかあ頑な。そして隠遁的で逃避的に見えるのは否定しないんですね。