茶道と香道15 免許傳授之事2

茶道の傳授程世に馬鹿氣たる事又あらずといはむも決而過言に非ざる也
斯道を業と為人又は他に目的ありて為にする等の外は茶道以上の免許は無益といふべし
今爰にさらけ出して其免許物をいへば、茶通箱 唐物點 臺天目 盆點 亂飾 眞臺子の六にて皆傳也

茶道の伝授ほど馬鹿らしいものはないといっていい。
先生になりたいとかの理由がないなら無益だ。
今ここに公表すると、免許物ってのは茶通箱、唐物、台天目、盆点、乱飾、真台子の六つで全部なんだ

…。

著者は、許状ビジネスを馬鹿らしいと感じていた。そこで、許状ビジネスへのアンチテーゼとして、それぞれの免状のお点前を公開する、という暴挙に出た。

本書では茶通箱、唐物と点前の記述が続く。

そして遂に真の台子の公開が!

眞臺子

是を眞の手前と稱して茶道奥許皆傳となる尤重むずる處也
今容易氣に開陳するは千家に對し少し氣の毒の咸なきにも非ねど爰迄書來りて勢ひ止可くも非ねば儘よりかき竭さむ
始臺子の上段に盆に茶入を乗せて(略)

「悪いなー。いやー千家に悪いなー。でもここまで来たら勢いで書いちゃうよー」

気の毒に思うならやるなよ。

ところで、表千家の許状は今と特にかわりはないみたいだ。
現代では真台子は男性限定みたいだが、著者は女性なので、他人に伝授できる理由が判らない。
当時は女性にも真の台子の相伝があったんだろうか?


あと、家庭百科全書、みたいな温いシリーズ本でこんな過激なことが行われていたなんて。