茶道と香道17 一酸化炭素

本書は私が知る、一酸化炭素中毒に対する注意を書いた最も古い茶書。

故人はいはざる事なから爰に尤注意すべき事あり
そは他ならす茶室なる物は四疊半より一疊大目に至る迄いつれも小間也
六疊八疊の廣間となればさる事もなかるべけれど冬季此小間に會し爐には火を壮にし火氣と湯氣とにて暖かなる上に主客六人も籠居し剰へ酒飯の熱物を呑喰して十二分に炭素の充満したる折しも中立と成て庭に出れば俄然寒冷の氣に犯されて始は一寸心持快如くなれど客中に若も虚弱の人ある時は便所などに出入の際フと眩暈を發し卒倒する事あり

昔の人は言わなかったがここに最も注意しなきゃいけない事がある。
茶室ってのは四畳半〜一畳台目までが小間なんだ。
六畳八畳の広間ならともかく、冬の小間で火と湯気を盛んに焚いて、そこに主客6人もいて飲み喰いして炭素の充満したところから中立に出た日には、外の寒さがちょっと気持ちよくても、体の弱い人なんかはふらっと目眩を起こして倒れることがあるよ。

…。

若干脳溢血あたりと混同がある様な気がするが、まぁ安全サイドに振ったと思えば問題なし。

主方にて注意して昔よりの仕來りには背くとも茶道口通ひ口を開きて炭素のこもらざる樣にして不時の苦痛に人を惱ます事勿れ

対策は、しきたりに反しても換気しろ、という、実に真っ当なもの。


現代の先生方は一酸化炭素中毒に対し、ここまでちゃんと教えているだろうか?
電熱になっていて関係なくなっているのだろうか?
結構重要な事だと思うんだけどなぁ。