近世茶道史

谷端昭夫/淡交社/1988年。

江戸時代の茶の湯の実態を研究した研究書。

著者は言う。

これまでの近世における茶の湯の研究で、最も進んでいるのは、主として大名達による茶の湯のあり方の解明と、わび茶を奉ずる茶家の宗匠達の研究であろう。
(中略)

つまり、利休/遠州/石州を中心に研究が進み、他は疎かであると言っている。

全国の関係者に地域茶道の概況を依頼してなったのが「武家茶道の系譜」(昭和五十三年九月『歴史読本』増刊号)の巻末に収められた『徳川九〇大名家の茶道』であった。

http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20080202

武家茶道と並んで、今後なお研究を進めなければならない部分として、商・町人の茶の湯がある。これまで『鴻池蔵帳』との関連で、鴻池道億や『茶器名物図案』とその著者草間直方らが個別に取り上げられてはきたが、これらをまとめたものとしては、原田伴彦氏の『町人茶道史』(昭和四十七年 筑摩書房)が知られるのみである。

http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20081222

個別にいろいろな取り組みがあったが、それでも不完全で、江戸時代の茶の湯の全貌を詳らかにしたい、というのが本書である。


江戸時代の終焉とともに各藩の茶の湯は衰退し、さらに、明治末期以降、裏千家の躍進で各地から駆逐された地域茶道。
この現状から調べようというのは非常に難しいテーマだと思う。