新選茶の湯読本4 香の物

あるお宅の正午茶事に招れた時のことである。
八寸も主客の盃ごともすんで、香りのたかい澤庵で湯漬をいただいていると、お詰をつとめていた某老人が「井口さん、漬物のことを香の物というわけを御存じですか?」と云った。
常日頃、あまり氣にもしていなかったことなので、とっさに返事が出来なかった。
するとその老茶人は、香の物という起りは、香道の方で「聞香」をする時に、大根の漬けたものを食べると、口の中の臭みがとれて、嗅覚が正しくなるので、漬物のことを、香の物というようになったのだと、教えて呉れた。

これに続き、「香の物」という言葉の語源の諸説を

  1. 味噌を古語で香と呼んだから
  2. 糟粕から香りを移したから

などと紹介してくれている。

聞香と関係している、という説は知らんかったなー。

でも利き酒で卵を使ったりするのと、おんなじかも。