新選茶の湯読本5 車井戸

井戸の上にある固定滑車「クルマキ」について。

田村宗園という父の時代の業躰から聞いたことだが、茶事で亭主が迎え付に出る時、自ら水を汲んで、蹲踞の水をかえるのだが、その水を汲むのに心得があって、クルマキの音を、カラカラと高く立てて汲む。すると、腰掛で、迎え付を待っている客は、そのクルマキの音を聞いて、亭主が露地まで出て來ていることを感じて、居ずまいを正すのである。
客が席入りをしてからは、露地に打水をしたりする時に、クルマキの音を立てないようにする。

そもそも、蹲踞の水を替える音を聞いて客は亭主の迎えが近い事を知る筈だから、その前段階の音の必然性がよくわからないな。


あと、井戸の風情が実感できないなぁ。今、水道の水を勢い良く出しても、絶対同じ興趣は湧かないだろうしな。