戦争と茶道4 東亜共榮圏と茶道

さて、本書は戦争末期に出版を許された様な本なので、国威発揚もきちんとしなくてはならないわけでありますな。

八紘一宇の、大御心のもとに、今や大東亜共榮圏の基礎は、忠勇なる皇軍の威武のもとに成らんとしてゐる。
而もこの十數億にあまる民族は、中華民國はいふまでもなく、その他と雖、皆往時は緑茶を嗜み、食事もかの血のしたたるのを喜ぶ洋食の如き獸食に近いものでなく、清潔な米を主食としてゐたものである、これに珈琲や紅茶を教え、洋食を強いたのは碧眼朱髯の英と蘭米奴である。

緑茶を嗜んでいたのに珈琲や紅茶を教えたのが鬼畜米英の所業という分けか…もはや言いがかりである。
しかし、中国が侵略されたのは西洋化が悪いのではなく、西洋化が不足していたからなのだと思うのだけど。

而もこれ等の飲啜の法は、これに砂糖を和してすべてそのものの眞を奪ひ、且つ何等の精神も禮法も伴はぬものなのである。

砂糖入れちゃ駄目ってのは、世界の喫茶文化の中で、ブラックストレートに拘る日本ならではの難癖。
まぁその混ぜ物禁止文化の由来も茶の湯だと思うから、排外の言葉としてはあながち頓珍漢でもないかもしんないね。