茶道支那行脚7 中国の茶房

さて、ついで中国茶道の特徴。

支那茶事の席上は、どうかと云ふと、之に反して
一、几帳面と云ふことよりも、萬事が大まかで、呑ん氣である、而かも客に対する持てなしはよほど社交的な點が濃かにある。
二、形よりも大陸氣分で、禪機の漲つてゐる事を判つきり知る。茶そのものよりも禪堂にゐるやうな心持がする。
三、飾り付けのものがほこりもみれになつてゐたり、特別に取片付けをしたりしない為め自然のままになつてゐるのが多い。これは民族性の相違から來てゐるものであると解せられる。
四、特に有閑のものと云ふわけでなく、茶館が市中に多くあるのでもわかるやうに大體にのびやかな人が多い。従つて茶事は支那の人に元來向くやうに出來てゐる。
五、支那の昔は知らぬこと、今は皆椅子に腰をかけて頂くのである。茶を立てるのも椅子によつてゐるのであるから、わりに朗らかに又のびやかに行く。
六、支那には茶道生活と云ふが別にあるわけでなく、ひろく普及して皆一般に理解されてゐるのだから、そこに窮屈に感ずることがない。
七、茶道の事を贅澤とか、高級とか云ふ風に考へるものはない。誰れ人も上下ひとしくお茶に傾注するの風習があるのである。
八、茶器類に凝つたり、八釜しく云つたりするものは少數である。天眞爛漫にガブ呑みをすることも敢へて辭しないのである。

一、二、四、六は大陸の気分をよくあらわしている。
三はずぼらなだけやん。
五は当然のこと。
七八はどうなのかな〜。著者が高級な茶に呼ばれなかっただけじゃないかという疑惑あり。