正倉院ぎれ7 終わりに

本書では、このあと正倉院ぎれに含まれるさまざまな織り方の技法や染織の技法が紹介される。また、あきらかに舶載の、すばらしい染織品の紹介/解説もなされている。

…が、そいつは省き、読んだ感想を。


本書を読む前から「正倉院裂」とばくぜんとイメージしていたものと違い、実際の正倉院コレクションは

  1. 国産の布製品が大部分である
  2. 名物裂的なものばかりではなく、作業着みたいなものも多数含まれる。

といった感じで、驚かされた。

この乖離は、おそらく、以下が原因である。

  1. 我々茶人が布のコレクションと聞いた場合、茶の湯で使えるものの集まりだと勝手に想像してしまう。でも研究者からすればその布が茶の湯で使えるかなんてカンケーない。
  2. 正倉院に所蔵された布の中で、厳選された上澄みだけを龍村とかが復刻している。龍村も得体の知れない作業着の麻布とかを復刻するわけがない。

だから、我々の正倉院裂に関するイメージも、けっして間違っているわけではないのだと思う。

でも、正倉院裂の真実を知っておくのも決して無駄じゃないと思うんだよな。