茶道聖典7 川崎梅千代宛の傳書

天正15年5月の利休宗易(判)の奥書きのある伝書。

群書類従にも収録されているらしいので、18世紀後半には有名な伝書だった筈である。

客之次第
一、茶給はるべきの状受けたる時に、忝く候、參るべしとの返事の状の表、其位々に慇懃に書きて、忝奉存候、必ず以參可申上と、此必と云ふ事を文章にかくべし。

こんな感じに客の作法を書いている。

内容は結構面白い。

數寄約束して、雨ふり雪ふり、烈しき天氣あるに、亭主より數寄を延べ申すべきと申し遣す事大法也。
客は一入雨面白く候、必々參るべしと返事する事本也。

昔の茶人かっこいい。


しかし内容的には利休っぽさはあんまり無い。
むしろ:

一、大名客の御相伴は、相客の御書立(人名書)廻る事にて侍れば、

かなり身分制に配慮していて、織部以降の茶を連想させる。

江戸時代の偽書だとして、「利休さんの時代の茶は大名とかに配慮しなかったんやなー。今時は使えんなー」と思われたら売れないから、作者としては当然の配慮か。