茶道聖典15 利休の伝書に関して

本書にはこのあと、利休百首とかいろいろ載っているが、まぁそれは省略。


本書にはいろんな利休作伝書が収録されている。

毛色の違うのもあるけれど、おおまかにはこんな奴が多い。

  1. 内容は野村宗覺宛の伝書の引き写し。
  2. 奥書は天正十五年か天正九年中心。
  3. 天正九年に無理が有っても利休を署名する。


そして野村宗覺宛の伝書の内容には以下の特徴がある。

  1. 台子や盆点などの広間の茶に関する伝書である。
  2. 手順や置き合わせ等他愛ない内容。

つまり、利休の侘び茶に関する伝書は全然ない。そして精神性の面はほとんどなく、誰でも書けそうな内容。「こんなの利休のでは無い!」と否定できるほどの内容ですらない。
たぶん、当たり障りの無い内容の利休伝書を偽造していた連中がいたんじゃないかなー。


台子の伝書なのは以下の理由だと思う。

  1. 侘び茶の伝書を書くとボロが出やすいから。
  2. 台子の伝書の方が当時の客層にはありがたかった。

あと天正9年と天正15年に集中している意味はたぶん無い。天正9年は秀吉出世前で、利休が秀吉お抱えとして有名になる前だから他人に伝書を出していても不自然さが少ない。天正15年は九州征伐が終わって秀長に「内々の事は利休に」と言わしめた全盛期。でも多分そんな事考えてないと思う。他人の書いた伝書引き写しただけだろう。


もしこれら全部が利休の真筆だったとしても、それを読んで得る物がない程度のものであれば無価値だと思うんよ。